生活介護 新規事業所開設までの流れを解説(東京都の場合)

生活介護の指定申請の流れ

生活介護サービスを提供するためには、都道府県知事の指定を受ける必要があります。指定申請のプロセスは複雑で、各ステップをしっかりと理解し、計画的に進めることが重要です。以下に、新規指定を受けるための詳細な流れと各ステップを解説します。

1. 準備段階

指定協議説明会への出席

年5〜6回程度開催される指定協議説明会に出席することが必要です。ここで申請に関する基本的な説明を受けます​​。説明会では、申請手続きの詳細や注意点が説明されるため、しっかりとメモを取り、後の手続きに備えることが重要です。説明会の参加は、申請プロセスの理解を深め、疑問点を解消するための良い機会です。

指定協議事前調査シートの作成

説明会後、指定協議事前調査シートを提出します。このシートには、事業計画の概要や施設の設置予定地などの情報を記載します​​。シートの記入は詳細かつ正確に行い、事業の実現可能性を具体的に示すことが重要です。シートの内容が審査の基礎資料となるため、よく検討し、時には専門家も交えながら作成すると良いかもしれません。

事業計画書(案)の作成

事業計画書には、施設の運営方針、提供するサービスの内容、利用者のニーズ、職員の配置計画など詳細に記載します。事業計画書の作成は、指定協議説明会への出席が必要であり、その後、指定協議事前調査シートとともに提出します​​。

計画書には、具体的なサービス内容や運営スケジュール、リスク管理計画などを詳細に記載することが求められます。計画書が具体的で現実的であるほど、審査をスムーズに進めることができます。事業計画書の作成時には、運営資金の確保方法や収支計画についても詳細に記載し、事業の持続可能性を示すことが重要です​​。

実施地区(区市町村)の障害福祉主管課に相談

都の指定相談を受ける前に、実施地区(区市町村)の障害福祉主管課で、新規立ち上げについて相談します。

各区市町村で策定している「障害福祉計画」との兼ね合いや、実施地区における利用者のニーズ等を確認し、議事録を作成しましょう。物件の見通しが立っている場合には、実施地区を所管している建築主事に平面図を持参し、建築基準法等に適合したものかの確認をし、議事録を作成します。

2. 指定申請手続き

指定相談

申請書類の提出前に、指定相談を行います。これは来庁による事前相談で、複数回にわたることが多いです。ここでは、事業計画書(案)や平面図、各関係機関との相談議事録などを持参し、詳細な確認を行います​​。

相談では、提出書類に不備がないか、計画内容が実現可能かを確認し、必要に応じて修正指示が行われます。複数回の相談を通じて、申請内容をブラッシュアップし、確実な申請を目指します。指定相談は、役所とのコミュニケーションを深め、申請プロセスを円滑に進めるための重要なステップです​​。

法人格の取得

指定を受けるためには、法人格を有している必要があります。社会福祉法人、NPO法人、医療法人などが該当します。法人格の取得後、定款や登記簿謄本(登記事項全部証明書)には、障害福祉サービス事業に関する記載が必要です​​​​。

物件の確保と適合性確認

利用する物件が建築基準法や消防法に適合しているか確認します。平面図を持参し、建築主事や消防署に確認を取ります。

障害福祉サービスの指定を受けるにあたって、事業所面積によっては建築基準法上の「用途変更」の手続きが必要になる場合があります。「用途変更」をする場合、「バリアフリー条例」が適用され、だれでもトイレ等の設置が必要になることがあります。

また、物件について、消防署にも平面図を持参のうえ、消防法令等に適合したものかを確認し、議事録を作成しましょう。また、物件によっては、スプリンクラーや自動火災報知機等の設置が必要になる場合があります。

物件については、契約後に設備要件の不備が判明する等の事態を未然に防ぐため、必ず契約前に、自治体へご相談ください。改修工事の場合も同様に、着工前にご相談ください。

物件の選定は、事業運営の成否に直結する重要な要素です。特に、障害者が利用する施設では、バリアフリー設計や緊急時の避難経路の確保が不可欠です。また、物件の立地も重要で、利用者やスタッフが通いやすい場所を選定することが望まれます。物件契約前には、必ず専門家の意見を聞き、適切な物件を選定するよう心掛けましょう​​。

申請書類の提出

申請書類は正副2部作成し、正本を都に提出します。副本は事業所で保管します。不備があった場合は再提出が求められるため、事前に確認を徹底します​​。

書類提出後は、基本的には差し替えが認められないため、提出前に入念な確認を行います。申請書類には、法人の定款、登記簿謄本、事業計画書、設備図面などが含まれます。

書類の整備が不十分な場合、申請が受理されず、再提出を求められることがあります。提出前には、専門家にチェックを依頼し、完璧な書類を準備しましょう​​。

3. 審査と現地確認

書類審査

提出された書類は審査され、指定基準を満たしているか確認されます。不備がある場合は、再度提出を求められることがあります​​。仮に指定申請書類が整っていても、例えば改修工事が完了していない、消防署の指導による設備設置が完了していない等の指定基準上の不備がある場合は、指定予定月日に指定すされないので注意が必要です。

審査では、事業計画の実現可能性や法令遵守状況、財務状況などがチェックされます。審査に通過するためには、事前に法令やガイドラインを熟知し、必要な対応を講じることが重要です。書類審査は、事業の信頼性と実現可能性を判断するための重要なステップです​​。

現地確認

指定前月の中旬以降に現地確認が行われます。改修工事や備品の納入が完了し、利用者の受け入れ体制が整っていることを確認します。現地確認により基準を満たしていないことが判明した場合、指定が延期されることがあります​​。

現地確認では、施設の安全性、衛生管理、設備の適切な配置などが重点的にチェックされます。現地確認に備えて、事前に施設内の清掃や点検を行い、万全の準備を整えましょう​​。

4. 指定後の対応

指定通知

審査の結果、基準を満たしている事業所は、各月の1日付で指定されます。指定通知書には、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律における『事業者番号』が付番されます。通知の再発行はされないので、大切に保管しましょう。

指定通知書は、指定を受けた証明となる重要な書類であり、事業所内に掲示することが求められます。運営規程、従業員の勤務体制、その他重要事項等とともに、事業所内の見やすい場所へ掲示しましょう。

実地検査と集団指導

実地検査

指定後、事業所に対する実地検査が行われます。これは、障害者総合支援法第11条及び第48条に基づいて実施され、事業所の運営状況や法令遵守状況を確認するための重要な手続きです。実地検査では、施設内の設備や安全管理、利用者へのサービス提供状況、職員の配置、帳簿や書類の管理などが詳細にチェックされます。

集団指導

集団指導は、事業者に対して法令や基準の周知を図り、適正な運営を促進するための指導・研修の場です。ここでは、過去の実地検査での指摘事項、法令改正点、新たな運営方針などが説明されます。

変更届の提出

申請内容に変更が生じた場合は、変更後10日以内に変更届出書を提出します。加算に関する変更届は算定月の前月の15日までに提出します​​。

変更内容には、事業所の所在地変更、管理者の変更、設備の変更などが含まれます。変更届の提出が遅れると、法令違反となり、行政処分を受ける可能性があるため、迅速な対応が求められます​​。

各種調査への協力

実績調査等の調査依頼があった場合には、迅速に対応し、必要な情報を提供しましょう。

まとめ

生活介護の指定申請は、準備段階から申請、審査、そして指定後の対応に至るまで、多くのステップを踏む必要があります。特に、法人格の取得、物件の適合性確認、詳細な事業計画書の作成が重要です。指定申請をスムーズに進めるためには、役所との綿密な打ち合わせと、関係法令の遵守が不可欠です。また、指定後の実地検査や集団指導にも対応することで、事業の継続と質の向上を図ることが求められます。

具体的な手順や必要な書類については専門家と相談しながら進めることをお勧めします。

参考資料:障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業_指定申請等の手引(改訂版)